AVR-Fanconの概要

1.AVR-Fanconの特徴

(1)自律形の自動ファンコントローラ

 AVR-Fanconは、温度センサーで取得した温度データにより、CPUファンやケースファンに供給する電圧を自動制御します。自動制御に必要な制御パラメータは、本体AVRマイクロコントローラ内の不揮発メモリ(EEPROM)に保存されており、電源を切っても消えることはありません。このため、PCにフリーズなどの異常が起きても、PCから独立して自律的に動作します。

(2)モニタソフトFanduinaV3による利便性

 USB経由でPC側のWindows用モニタソフトFanduinaV3と通信することにより、温度やファン回転数の監視、EEPROM内の制御パラメータの書換え、手動でのファン制御、PC側で計測したCore温度等でのファン制御およびAVRのファームウェア・アップデートなど、利便性の高い機能を利用することができます。

(3)PCIスロットへの容易な設置

 PCIスロットまたはPCIexpressX16スロットに挿して固定できるように、基板に切り込みを入れてあります。
ただし、スロット挿入部に端子はありませんので、電気的には別途コネクタで接続します。

(4)オープンソースによる自由な改変・活用

 ハードウェア(回路図、基板パターン)、ファームウェア(AVRのFlashプログラム)およびソフトウェア(FanduinaV3)はソースを公開していますので、自由に利用することができます。
 なお、再配布に当たっては同様に公開されることを希望します。ファームウェアおよびソフトウェアではフリーソフト等を利用しておりますので、その使用許諾条件については、各々に添付のドキュメントをご参照ください。

2.AVR-Fanconの機能

(1)温度計によるファンの自動制御

 PC内に貼り付けた温度センサー(サーミスタ)から得た温度により、ファンに供給する電圧を制御します。Temp(温度℃)とDuty(12Vを100%とした供給電圧の比率)の関係は下図のとおりで、最大値(Tmax,Dmax)と最小値(Tmin,Dmin)を制御パラメータとして指定します。
 また、ある温度(Tstop)以下になったらファンを停止する低温時ファン停止機能(CSF:Cool Stop Function)があります。CSFは停止する温度(Tstop)と再起動する温度(Tmin)を別にし、ヒステリシスを持たせてあります。

(2)ファン回転数監視による停止時の自動再起動

 AVR-Fanconはファンの回転数を監視し、供給電圧が低くてファンが止まってしまった時には、一時的に電圧を上げてファンを再起動させます。
 なお、自動再起動時の供給電圧(Duty)も設定できます。

(3)温度およびファン回転数等の情報をPCへ送信

 USB接続してPCと通信することにより、PC側のモニタソフトFanduinaV3で、計測した温度やファン回転数などの情報を表示・ログ記録したり、温度過昇やファン停止をアラームで知らせることができます。PCからは仮想シリアルポート(COMポート)またはヒューマン・インターフェース・デバイス(HID)として認識されます。

(4)制御パラメータの書換え

 AVRマイコンのEEPROMに保存されている制御パラメータは、モニタソフトFanduinaV3を使用して容易に書換えることができます。

(5)ファンの手動制御

 温度での自動制御だけでなく、ファンの供給電圧(Duty)を手動の固定値に設定でき、また、設定値をEEPROMに保存できます。ただし、手動にしたときはファンが止まってしまっても自動再起動しません。
手動設定値は、FanduinaV3のスライドバーを操作することで調節できます。

(6)代用温度計によるファンの自動制御

 モニタソフトFanduinaV3で計測したCPU・GPU・HDDの温度を受信することにより、温度センサーの代用とすることができます。この機能により、温度センサーを接続する手間は省けますが、常にFanduinaV2を起動しておく必要があり、自律制御ではなくなります。

(7)オンボードでのファームウェア書換

 一部の機種を除いて、ファームウェアをオンボードのままアップデートできます。

(8)LCD・VFDへの表示

 一部の機種では、液晶パネル(LCD)やVFD表示装置を接続して、温度やファン回転数を5インチベイなどに表示することができます。

3.AVR-Fanconの使用方法(詳細は各Revのページをご参照ください)

(1)PC側の準備

 モニタソフトFanduinaV3をインストールします。インストーラタイプではないので、フォルダを適当な場所にコピーするだけです。
 また、HIDタイプ以外の機種は、USBのドライバを用意しておき、AVR-Fanconとの接続後にインストールしてください。
 (HIDタイプの機種はRev6.0、Rev8.0およびRev9.0で、Windowsの標準ドライバで認識できます)

(2)AVR-Fanconの接続

 一旦、USBケーブルだけでPCに接続します。まだ温度センサーやファンなどは接続しないでください。
 USBドライバの必要な機種は、ドライバを要求されますので、用意したドライバをインストールしてください。
 次に、FanduinaV3を起動してAVR-Fanconと通信ができることを確認し、必要に応じて制御パラメータを書換えておきます。
 PCの電源をオフにして、AVR-Fanconに4ピンペリフェラル電源、USBケーブル、温度センサーおよびファンを接続します。

(3)PC起動とAVR-Fanconの動作確認

 PCを起動したら、FanduinaV3によりAVR-Fanconが動作していることを確認してください。

4.Revによる機能の違い

Rev 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 7.0 8.0 6.0 9.0
接続数 ファン 4 6 6 6 4 4 2 6 6
温度センサー 4 4 4 4 4 4 1 4 4
ファンの制御方式

on/

off

降圧形チョッパ式電圧可変制御
LSI AVR M88 M88,168,328P

328P

t85 M32U4
USB FT232RL
機能 基本機能 自動制御、PCとのUSB通信、制御パラメータ書換 
自動再起動時の電圧 固定 設定により変更可能
手動制御 対応
代用温度計 対応 ※1
オンボード・ファーム書換 不可 不可
LCD・VFD接続 不可

※2
(要改造)


※1,2

不可

標準


※2

Rev 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 7.0 8.0 6.0 9.0

 ※1 最新版ファームウェアでのものです。
 ※2 LCD・VFD接続は専用の回路を外付けする必要があります。

各Revの特記事項
Rev1.0,2.0 : 試作機
Rev3.0,4.0 : 独立制御が可能なファンは4chまで
Rev5.0 : ロープロファイルPCIに対応
Rev6.0 : 5インチベイサイズ設計
Rev7.0 : 拡張端子の確保
Rev8.0 : 小型で安価
Rev9.0 : PWMファン3台接続可

5.注意事項

  • AVR-Fanconを使用することによって生じたいかなる損害に対しても、作者tomoは責任を負いません。自己責任でご利用ください。
  • プリント基板をまとめて発注すると単価が安くなるため、余剰分を実費でお譲りしていますが、なくなり次第締め切らせていただきます。
  • 商売のつもりはなく、多くの方にご利用いただきたいのでソースを公開しています。改造したり改良された際には、ご一報下さるとうれしいです。
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